まだ犬を飼ってばかりの頃は、いつからお散歩に連れて行って良いのか?何に気を付ければ良いのか?必要な準備は?と分からないことだらけで不安になった経験が筆者にもあります。
お散歩は「ワンちゃんと楽しく歩くこと」はもちろんですが、実は愛犬のためにさまざまなことに気を配らなくてはなりません。
この記事は以下の内容でお送りします。
愛犬とのお散歩デビューを控えている方や子犬とのお散歩に不安がある方は、ぜひご覧ください。
子犬の散歩デビューはいつ?
子犬には、散歩を始める適正な時期があります。
あまり小さいうちから散歩させるのはリスクが伴うこともあるためです。
この章ではすぐに散歩できない理由と、リスクをできるだけ抑えて散歩する方法をご紹介します。
すぐに散歩できない理由
家の中で元気いっぱいに走り回る子犬を見ると、早めに散歩させたいと思うかもしれません。
しかし生後1か月半~3か月頃の子犬は、初乳で得た免疫が減ってきてさまざまな感染症のリスクがあります。
そのため一般的にはワクチンの3回接種が推奨されており、ワクチン接種が完了したあと1~2週間ほど経てようやく免疫力が安定すると考えられています。
いわゆる地面を歩かせる散歩は感染症の危険があるので、しばらくは控えた方がよいでしょう。
それなら「抱っこ散歩デビュー」がおすすめ!抱っこデビューの時期と方法
ワクチン終了前のお散歩は控えた方が良いのですが、実は犬には生後3週齢~12週齢までの「社会化期」があり、この時期までにいろんな人や犬とふれあい、社会性を身につけさせることが重要です。
ワクチンプログラムが終わり、免疫力が安定するのを待つと社会化期を逃してしまうことから、散歩デビューとワクチンプログラムの問題は悩ましいものでした。
近年では両方のリスクを考慮して「抱っこ散歩」が推奨されるようになっています。
抱っこ散歩とは、リードをつけ抱っこやスリングで散歩することです。
直接地面を歩かず行動もコントロールできるため、感染症のリスクを抑えながら外出できます。
抱っこ散歩の注意点
ただしまだ免疫力が十分でないため、決して地面を歩かせないこと、ほかの動物と触れ合わないように注意が必要です。
最初は自宅周辺の短い距離から始め、少しずつ距離を延ばして慣れさせましょう。
大きな音がしてもおとなしくできたら褒めておやつをあげるなど、「外には楽しいことがある」という経験させてあげてください。
愛犬を連れて車で普段からお出かけをする予定の方は、早めに車の感覚にも慣らしてあげましょう。
ここでも少しずつ距離を伸ばして行くことが必須です。
また最初のうちはワクチンなどで病院に連れて行くこと多いと思いますが、「車に乗る=病院=注射怖い!」と思ってしまうと、トラウマになって車を嫌がってしまうかも知れません。「ドライブ自体が楽しい」という経験もたくさんさせてあげましょう。
おすすめの時期は季節や地域によっても変わる!
実際に歩く散歩デビューは、ワクチンプログラムが終了してから1~2週間後くらいといわれます。
しかし、たとえば感染症が周辺地域で流行っていたり、季節やわんちゃんの状態によってもおすすめの時期が変わってくる場合もあります。
わんちゃんの状態を十分に把握している、ワクチンを受けた獣医師と相談して決めるのが良いでしょう。
排泄のためじゃない!犬に散歩が必要な3つの理由
排泄のためと思っている方も多いようですが、排泄のためにお散歩をさせるのはおすすめできません。排泄は、本来は飼い主さんの指示でどこでも(ペットシートの上など)で出来るようになるのが理想です。
「お散歩に行ったら=排泄する」と愛犬が覚えてしまうと、今度はお散歩に行かないと排泄ができなくなってしまいます。(※こちらはトイレトレーニングの記事で詳しく解説します)
お散歩デビューの前に、そもそも、犬にはなぜ散歩が必要なのかを今一度確認していきましょう!
- ストレス発散
- 運動不足解消
- コミュニケーション
ひとつめは、犬のストレス発散に役立つからです。
家の中だけでは犬にとって刺激が少なく、十分にストレスを発散できません。
ふたつめは、運動不足解消のためです。
家の中はスペースが限られることから運動不足になる可能性が高く、肥満や筋肉量の不足になりかねません。
3つめは、飼い主さんとのコミュニケーションのためです。
犬はもともと集団行動していたことから、大好きな飼い主さんと何かを一緒にすることをとても喜びます。
一緒に遊ぶことと同様に、散歩に出かけることでコミュニケーションがより深まります。
愛犬が散歩好きになるコツ
愛犬に散歩好きになってもらうには、事前の準備と外は楽しいところと認識させてあげることが不可欠です。
リードやハーネスが嫌いにならないよう家で十分慣れさせることや、飼い主さんとコミュニケーションをとれるようにすることなど。
前述の抱っこ散歩も効果的です。社会化期に外の空気に触れさせ、さまざまな刺激を受けることで犬の好奇心も刺激され、外には楽しいことがあると認識できるようになっていきます。
ワクチンの問題も確かにありますが、できるだけ早い時期に外の刺激に慣れさせてあげることは、犬が人間と一緒に暮らすうえで非常に大切です。
散歩デビュー前の準備
散歩デビューをスムーズにするには、事前の準備がどれだけできるかにかかっています。
愛犬にストレスを感じさせず散歩好きになってもらうために、必要なことをご紹介します。
首輪・ハーネスに慣れさせる
散歩デビューの日にいきなり首輪やハーネスを装着されたら、それだけで散歩が嫌いになりかねません。
家の中にいる間に少しずつ慣れさせましょう。
始めは軽い首輪を短時間から
ちょうどよいものがなければバンダナで代用してもOK。
少し緩めに巻いてあげるのがポイントです。
首輪をつけている間は、遊んであげたりごはんやおやつをあげたりして楽しいことをたくさんしましょう。
「首輪をつけるといいことがある」と思ってくれたら成功です。
おとなしく首輪をつけていたらたくさん褒めてあげてください。
嫌がる様子が見えたら無理せず外します。
首輪やハーネスが嫌いになると、散歩以外にも外出が非常に困難になってしまうため、慎重にトレーニングしましょう。
おうちで使える迷子札の軽量首輪
お家の中で使える迷子札の付いた軽い素材の首輪もあります。
お散歩とは少し話題がズレてしまいますが、突然の脱走に備えて普段からお家の中でも迷子札をつけておきましょう。(そのため、ストレスなく使える首輪は重宝します!)
抱っこ散歩で最適な散歩コースを探す
抱っこ散歩できるようになったら、いろんなところを回って散歩デビューに最適なコースを探してみましょう。
前述の通り始めは自宅付近の静かなところを選び、徐々に距離を延ばして行きます。
また、抱っこ散歩しながらいろいろ話しかけてあげるのもよいでしょう。
飼い主さんの気持ちは愛犬にも伝わるので、穏やかで落ち着いたトーンで話しかけ、外は安全で楽しいところと伝えます。
抱っこ散歩におすすめのアイテム
リュックバッグ
リュックバッグは前と後ろに背負えるものがあります。
抱っこ散歩のうちはぜひ前に抱っこしてあげて愛犬の顔を見ながら話しかけてあげましょう。
スリング
スリングはお母さんに密着する赤ちゃんのようにわんちゃんにとっても安心感がありますが、底が不安定になりがちです。愛犬が無理な体勢にになってないか確認しながらお散歩しましょう。
家の中で散歩トレーニング
首輪に慣れたらリードをつけて家の中で散歩トレーニングを開始します。
犬の散歩はただ歩かせればよいわけではなく、飼い主さんに注意を向けながら歩いているかが大切なポイントです。
まず愛犬を飼い主さんの左右どちらに立たせるか決めます。
右利きの方は左に立たせると、散歩中のコミュニケーションがスムーズです。
愛犬が左側に立った場合、リードは長すぎず張りすぎないように左手で調整します。
右手にはおやつを持ち、愛犬に見せながらアイコンタクトをとります。
愛犬がしっかり目を合わせてくれたら、褒めておやつをあげましょう。
歩いているときも、常に飼い主さんに意識がいくようにおやつなどで誘導します。
できたらその都度褒めてあげてください。
もし愛犬が飼い主さんを引っ張って行ったら、すぐに逆方向へ進みます。
ついてきたら褒めてください。
「飼い主についていく方がいいことがある」と思わせるようにしましょう。
飼い主さんより先に行かない、立ち止まったらすぐに止まってくれる、ということができるようになると事故や拾い食いの危険が減少します。
トレーニングは楽しくなければ続きませんので、愛犬のペースに合わせて楽しみながらトレーニングしてください。
なお散歩で使用する場合、リードの長さは120cm前後で伸縮しないタイプがおすすめです。
お散歩デビューまでに用意しておくアイテム
いよいよ愛犬との本番の散歩デビューが近づいてきたら、必要なものを用意しておきましょう。
散歩に必要なものは次の通りです。
こう見ると荷物がずいぶん多い印象ですが、最近では便利なグッズが増えてコンパクトに持ち歩けるようになっています。
飲み水はボトルとお皿が一体化していればひとつで済みますし、ウンチ用の袋はにおいがもれにくくマナーカプセルに入れるとさらに安心。
迷子札
キーホルダー型で首輪にぶら下げるものもありますが、ブラブラするのが気になってしまうワンちゃんもいます。最初のうちは首輪に沿って取り付けられるものが良いでしょう。
首輪・ハーネス
首輪・ハーネスは愛犬のサイズに合ったものを選びましょう。
首輪は簡単に装着できますが、引っ張りが強い子は首を痛めてしまう場合もあるのでハーネスがおすすめです。
リード
リードは、スタンダードなものから伸縮リード、ロングリードと種類が様々ですが、最初のうちはスタンダードリードで、万が一の時にも制御が簡単な短め120cm~150cmがおすすめです。
マナーカプセル
処理後の排泄物はカバンの中で持ち歩くのは少し気が引けますよね。バッグやリードにセットすることができるのでマナーカプセルを使うのがおすすめです。
消臭スプレー
マーキングの後に水で流してワンプッシュするとマナー的にも良いですね。
給水ボトル
ボトルとお水入れが一体になったものだと持ち運びも便利です。
ウェットティッシュ
わんちゃんの手足、口、お尻などに直接使えます。また、何かと外出先ではあると便利。
おやつ
普段から食べ慣れているおやつや、特別おやつなどを小さく刻んでおいて、お散歩できちんと飼い主さんの横を歩けた時、待てた時、飼い主さんの指示で泊まれた時など、ことあるごとにこまめに褒めて、少しずつあげましょう。(食べ過ぎ防止&ちょっとずつでも褒めてもらえたことが嬉しい!)
おやつ入れ
ご褒美(トリート)は、褒めたらすかさずあげるのがポイントです。時間がかかってしまうと何でおやつが貰えてるのか分からなくなってしまいます。すぐに取り出せるようにおやつ入れは手元に、ベルトやお散歩バッグなどに取りつけられるものがおすすめです。
そのほか時間帯や季節によって、ライト・虫よけ・クールリングなどが必要になります。
こちらの記事「お出かけの際の持ち物チェックリスト」も参考にしてみてください。
散歩デビューの注意点とマナー
いよいよ散歩デビュー。
しかし愛犬との散歩には注意すべきことと守るべきマナーがあります。
この章では、愛犬との散歩時の注意点とマナーをご紹介します。
誤飲・誤食
愛犬と散歩していると、普段よりも路上のゴミが気になるのではないでしょうか。
犬が誤飲してしまいそうなゴミが、意外とあちこちに落ちています。
散歩中は愛犬や周囲の様子に気を配って、誤飲や誤食をしないように見てあげましょう。
排泄物
散歩で排泄物が出たら必ず始末しましょう。
トイレシートが間に合わなければ、トイレットペーパーなどでふき取り、水をかけてもう一度ふき取ればOK。
草むらなどふき取れないところなら、水をかけるだけでも。
においが残るとほかの犬がマーキングで上書きする可能性があるため、消臭スプレーなどでにおいも消しましょう。
ウンチは通常のコロコロウンチなら袋を手にかけて掴むことで処理できます。
問題はやわらかかったとき。
うまくトイレシートを敷いてあげられたらよいのですが、間に合わない場合は飼い主さんによっても対応が分かれるようです。
- トイレットペーパーやウェットティッシュでできる限りふき取り、残ったら水をかけてふき取る
- 砂をかけて混ぜてからふき取り最後に水で流す
- 袋で取ったあとティッシュなどでふき取る
処理の方法はいろいろですが、どの飼い主さんも原状回復を心がけているようです。
気温・降雨
愛犬との散歩は、気温や降雨の状況にも気を配りましょう。
夏は日中の時間帯を避け早朝か夜に、冬は逆に気温が上がる時間に、など愛犬の健康を考えて時間を決めてください。
「犬のおさんぽ予報」といったサイトが参考になるかもしれません。
雨が降っていたら、散歩の中止を検討してもよいでしょう。
被毛や肉球が濡れると皮膚病の原因になったり、風邪のような症状が出たりすることもあるからです。
ただし愛犬の性格や好みにもよるので、雨に濡れることより散歩を中止するストレスの方が大きければ出かけるのもよいでしょう。
その場合もレイングッズの利用や帰宅後のケアで、皮膚病などの病気から愛犬を守ることは可能です。
レインコートやレインシューズで、被毛や肉球を保護できます。
リードに傘がついている便利なグッズもあります。
レイングッズや傘はお散歩に便利ですが、外に出ている足元や頭はやはり少しは濡れてしまいます。
いずれにしても濡れてしまった場合には、感染症や皮膚炎のリスクもあるので、帰宅後すみやかに汚れや水分をふき取り、必要に応じてドライヤーをかけてください。
お散歩に行けない日は…
なお散歩に行けない日には、室内でストレスを解消させてあげましょう。
おもちゃのロープを引っ張りあったり、ボールを投げてキャッチさせたりなど、シンプルな遊びでも愛犬にとっては楽しい時間です。
遊びの主導権は飼い主さんが握ることや、愛犬がヒートアップしすぎる前にコントロールしてあげることをお忘れなく。
ほかの人・犬とは慎重に
散歩中にほかの犬と出会うこともあるでしょう。
他のわんちゃんと触れ合うことも子犬の社会化にはとても大切なことです。
ただ、まずは安易に近づかせず、様子を見ながらゆっくり進みます。犬と飼い主さんの様子も見ながら、近づかない方がよさそうと判断したら軽く会釈し少し距離をおいてすれ違いましょう。
もしお互いにフレンドリーでも、必ず相手の飼い主さんにひと言「あいさつさせてもいいですか?」と聞いてから。
離れるときには謝意を伝え、お互い気持ちのよい交流を心がけましょう。
歩行者に対しても注意が必要です。
犬に悪気はなくても、急に飛びついたりすればケガをさせる可能性があるため、目を離さないようにしてください。
歩行者が犬を怖がっているようなら、オスワリの姿勢で通り過ぎるのを待ちましょう。
散歩中の抱っこ
愛犬が散歩中に歩かなくなると、抱きかかえて帰る飼い主さんもいるようです。
しかしそれでは「座ったら抱っこしてくれた」と学習し、事あるごとに歩かなくなるかもしれません。
ケガや病気などやむを得ない理由がない限りは、安易に抱っこせず愛犬が歩き始めるのを待ちましょう。
散歩で歩かない理由と対処法
愛犬といつも通り散歩していても、なぜか歩いてくれないことがあります。
そんなときには、どのように対処すべきでしょうか。
この章では、犬が散歩で歩かない主な理由と対処法をご紹介します。
地面の温度
季節により地面が暑かったり、逆に冷たかったりすると歩くのを嫌がることがあります。
また、アスファルトを長時間歩かせると肉球が傷つくことがあります。
靴などで肉球を保護するか、芝生などやわらかいところを歩かせる工夫も必要です。
犬の肉球は、毛が生えていない分温度に敏感です。
40℃を超えるアスファルトのうえを歩いていると、細胞組織が死んでしまう可能性があります。
犬種によっては、冬の冷たい地面で凍傷になることも。
夏は散歩に行く前に、アスファルトを触り温度を確認してから出かけましょう。
場合によっては、靴で対策できることもあります。
過去の経験による恐怖心
今まで散歩や外出でトラウマになるような経験をしたことはありませんか?
犬は過去にあったネガティブなことをよく覚えていて、同じような行動を嫌がる傾向があります。
もし心当たりがあれば、散歩コースを変えるなどの対策で歩いてくれることもあります。
ただし、その場合でもネガティブな思い出はなくなっていないため、同じような状況でまた立ち止まることがあるかもしれません。
ケガ・病気
ケガや病気が原因で歩けないことも考えられます。
もしかしたら異物を踏んで、肉球をケガしているかもしれません。
関節の痛みや病気などで歩けないのかもしれません。
動き方がいつもと違う、と感じたら受診してみましょう。
特に定期健診していない場合は、注意して見てあげてください。
まとめ
愛犬との散歩は大切なコミュニケーションの時間であり、愛犬にとってもストレスを発散できる大切な時間です。
それに何といっても、散歩はお出かけの第一歩。
散歩嫌いにならないようしっかり準備をして、その日をお迎えください。