最近では、愛犬を連れて一緒にカフェ、レストラン、ショッピング、そして旅行も楽しめる施設がたくさん増えてきました。わんちゃんも家族の一員です。どこにお出かけするにも一緒に連れていけるのは良いことですよね!
でも、ちょっと待って!おでかけのマナーをきちんと知っていないと、知らず知らずのうちに周りの人や犬に迷惑をかけてしまったり、トラブルに発展してしまう可能性もあります。そんなことになったら、せっかく楽しみに行ってる飼い主さんも愛犬も楽しくなくなってしまいます。
そんなトラブルを防ぐためにも、普段のしつけやマナーが大切です。
この記事は以下の内容でお送りいたします。
「そろそろ愛犬とお出かけしたいな〜」
「お出かけはしてるけど、基本のしつけはできてるかな?」
と少しでも不安のある方はぜひご一読ください。
犬の本能がトラブルの原因!?しつけが必要な理由
楽しい思い出を作ろうと、休日に愛犬とのお出かけを計画している方もいるのではないでしょうか。
しかし、犬とのおでかけや旅行には危険やトラブルの元がいっぱい。
この章では、愛犬とのお出かけ前にしつけが必要な理由をご紹介します。
他人・他犬とのトラブル防止
いつもの慣れた散歩コースや家の中とは違い、お出かけ先には予測できないことがたくさんあります。
人がたくさんいたり、子どもが突然触ってきたり、知らない犬と遭遇したり…。
犬の吠える・噛む・飛びつくといった行為は、自分の身を守るために備わった本能です。
しかし、人間と生活するにはそれらの行動をコントロールできなければなりません。
慣れないところで起こりえるトラブルを回避するためしつけは必要です。
愛犬の保護
観光地では、食べ歩きをしていた観光客が落とした食べ物が路上に放置されていることもあるでしょう。
また観光地に限らず、誤食の危険性のあるものが落ちているかもしれません。
それを犬が食べてしまった場合、健康を損ねる危険性は大いにあります。
そのほか、人が多いことに興奮して突然走り出すかもしれません。
急に車道に飛び出せば事故のリスクもあります。
日ごろからしつけをして、どんなときでも落ち着いていられるようにしてあげることは、愛犬を命の危険から守ることにつながります。
公共の場でのマナー遵守
犬が苦手な人やほかの犬もいるような公共の場では、最低限のマナーを守らなければなりません。
待っている間はおとなしくできるか、知らない人に飛びつかないか、無駄吠えをしないかなど周囲に迷惑をかけないようしつけましょう。
万が一、他人や他の犬とのトラブルに発展してしまった場合には「普段はできているのに。。。」というのは通用しません。
特に旅行先、おでかけ先は普段のわんちゃんの行動範囲にはないので「不安」や「興奮」からいつもと違う行動をしてしまいがちなので、普段のお散歩とはちがうということを意識しましょう。
お出かけに必須の基本的なしつけとトレーニング
では、愛犬とお出かけするために必要なしつけにはどんなものがあるのでしょうか。
この章では、基本的なしつけとトレーニングを紹介します。
しつけには飼い主さんと愛犬との信頼関係が不可欠。
まずは信頼関係を築くことから始めてください。
また、犬の集中力は長く続きません。
1回のトレーニングは3~5分を目安にしましょう。
トイレ
トイレトレーニングは、新しく家族をお迎えしたら真っ先に取り組むことのひとつでしょう。
室内のトイレで排せつするだけでなく、してほしいときに排せつしてくれるとお出かけしやすくなります。
理想はトイレシーツの上でしてほしいときにできること。
人間が「外出前にトイレに行っておこう」と同様です。
そのためにはトイレコマンド(トイレの合図となる言葉)トレーニングから始めましょう。
初めから使っていたコマンドがあれば変更はしないでください。
よく聞くのは「トイレ」「チッチ」「シーシー」など。
わかりやすく家族みんなで共有できるコマンドがよいでしょう。
いつも使っているトイレシートを広げ、そこでコマンド。
できたら褒めて小さく切ったおやつをあげます。
失敗しても絶対に叱らず、「無」の心持ちで後始末してください。
というのも犬は粗相のあと
- 叱られる=トイレはいけないこと
- かまう=トイレを失敗するとかまってくれる
と覚えてしまうことがあります。
トイレ以外でも、トイレシーツを広げて声かけするだけで排せつしてくれるようになれば、お出かけの準備がひとつ整ったと考えてよいでしょう。
クレートトレーニング
クレートとは、上の写真のような犬を持ち運ぶための入れ物のことを言います。
クレートの中で落ち着いていられることが、クレートトレーニングの目的です。
犬は本来、穴の中で生活していた生き物ですので、クレートのような小さい穴のようなところにいると落ち着くと言われています。
愛犬がクレートを「自分が落ち着くことが出来る場所」と認識できるようになると、お出かけや旅行だけでなく災害時などにも役に立つので、必須のトレーニングとなります。
最初はおやつなどで釣って、ほんの少しの時間クレートの中で過ごせたら褒めてあげる、それを徐々に時間を長くして行ってください。
クレートの中を嫌がるわんちゃんは、最初はクレートの上下を外して恐怖心を取り除くところから始めてみましょう。
注意点はトイレと同じように決して怒らないことです。
クレートトレーニングで怒られた。。。というトラウマになるとクレートには入ってくれなくなってしまいます。すぐに入ってくれないわんちゃんには、決して怒らず根気強くトレーニングすることが大切です。
コマンドトレーニング
コマンドとは、「マテ、ヨシ、オスワリ、ハウス」など、ひとことで愛犬が理解できて、そして愛犬を制御することができる言葉をいいます。
「マテ」は英語の「Wait」でも良いのですが、同じ犬に対しては1つの言葉=1つの意味にしないと混乱してしまいますので、家族間でも言葉を共有に気をつけましょう。
例:「マテ」を「待っててね」「待ってよ」「待てよ」〜〜など色々な言い方で言ってしまうと犬にとっては、別の言葉を言われていると思ってしまうため、混乱してしいます。犬種にもよりますが、犬は40~80ワードくらいを覚えられると言われています。「マテ」だけで何個も覚えさせるのは効率的ではありませんね。
また一般的に広く使われているコマンドを使用した方が、他の飼い主さんから緊急的にコマンドされる場合や預ける際にも愛犬が理解しやすいという利点がありますので、コマンドはなるべく一般的なものを利用するのが望ましいです。(日本なら日本語の一般的なもの、英語圏で生活しているなら英語というように)
次の章では、しつけの際に必要なコマンドについて一つ一つ見ていきましょう。
しつけに必要なコマンド一覧
前章でお伝えしたとおり、コマンドは短く、また一般的なものを家族間で共有するようにしましょう。
この章では、一つ一つのコマンドの意味と習得の方法を紹介します。
- マテ・ヨシ
- オスワリ
- フセ
- オイデ
- モッテコイ、ハナセ
- チョウダイ
- ダメ
- オテ
マテ・ヨシ
「マテ」ができるようになると、興奮から急に車道に飛び出すなどの事故を未然に防げます。
「マテ」で動きを止めたあと「ヨシ」で解除。
「マテ」と「ヨシ」はセットでトレーニングしましょう。
ご褒美のおやつを手に持ち、反対の手のひらを犬の顔の付近で広げ「マテ」と声かけします。
マテができなかったら、もう一度犬が見上げる高さに手のひらを広げ声かけしてください。
2~3秒でも動かずにいられたら「ヨシ」と声かけしておやつをあげます。
このとき褒めることもお忘れなく。
ヨシの前に動いたらやり直し。
できなかったときは、おやつを上げないでください。
ちゃんと待ったら楽しいことがある、と思えるようにトレーニングしましょう。
繰り返しながら少しずつマテの時間を延ばします。
おやつよりもおもちゃで遊ぶ方が好きな犬には、おもちゃでもよいでしょう。
オスワリ
「オスワリ」も基本です。
お出かけ先で落ち着かせたり、突如走り出したりしたときにこちらに注意を向けさせることもできます。
手をグーにして中におやつを持ちます。
人差し指を立て犬の注意を引きながら犬が見上げる高さに手を移動。
犬は顔を上げるので、自然とおしりが床につきます。
そこで「オスワリ」と声かけしておやつを上げます。
できたらしっかり褒めてあげましょう。
これもオスワリをするとよいことがある、と認識させるようにトレーニングを繰り返します。
フセ
お出かけ先で休憩するときやレストランで食事をするとき、愛犬がフセの状態でいてくれると周囲の人も安心できます。
まずはオスワリさせ、しっかり褒めましょう。
おやつを手にのせ犬に見せて興味を引いたあと、その手をグーにして手を徐々に下げ、床に下ろします。
犬が前足をたたんでフセの状態になったら「フセ」と声かけし、おやつを上げて褒めてあげましょう。
「フセ」と声かけしたらフセができるように慣らし、手のひらを床に向けて下げるハンドサインをつけます。
「フセ」と言いながらハンドサインで合図をし、フセができるように繰り返します。
オイデ
万が一、飼い主さんから愛犬が離れてしまったとき、「オイデ」ができると呼び戻すことが可能です。
災害時にも速やかに避難できるため、愛犬の命を守るうえでも習得しておきたいしつけです。
まずは犬から少し離れ、「オイデ」と言ってください。
楽しそうに笑顔で声かけすることも大切です。
来てくれたらたくさん褒めて一緒に遊んであげましょう。
できなければ無理に続けずまた次の機会にしてください。
確実に来てくれるようにするには「飼い主さんの元に行ったら楽しいことがある」と思わせることが大切。
くれぐれも「オイデ」と呼んで叱ることは避けてください。
モッテコイ・ハナセ(チョウダイ)
「ハナセ」ができると、愛犬の誤食や拾い食いを防止できます。
「モッテコイ」「ハナセ(チョウダイ)」はセットでトレーニングしてください。
まず、ボールなど好きで手頃な大きさのおもちゃを持ち、犬の興味を引きましょう。
近いところに転がし、犬が追いかけたら褒めて「オイデ」「モッテコイ」などいつも同じコマンドで呼びます。
おもちゃをくわえてきたら、犬の口元に手のひらを出し「ハナセ(チョウダイ)」。
このとき離さなくても決して無理やり引っ張らないでください。
おやつをポケットに忍ばせておき、おやつを見せながらもう一方の手でボールを受け取ります。
できたらおやつを上げて褒め、一緒に遊びましょう。
徐々におやつのタイミングを遅らせ、おやつがなくても離してくれるようトレーニングします。
ダメ
「ダメ」はすぐにやめてほしい行動をしている最中に使います。
愛犬が興奮して人に飛びかかったりしたときなどに使えるため、もしものときのためにも覚えておきたいことです。
トレーニングでは、してほしくないことをしているときに強く「ダメ」と言います。
このとき名前は呼ばないでください。
名前を呼んで「ダメ」では、名前を呼ばれることにネガティブなイメージを持たせてしまいます。
オテ
「オテ」が本当に必要かと考える方もいますが、体を触られることに慣れさせる目的があります。
外に出ると知らない人や子供と出会うことも増えるでしょう。「オテ」ができると知らない人と自然に触れ合うことができ、愛犬自体の抵抗も少なくなります。
また、飼い主さんは「オテ」をして、愛犬が手をケガをしていないか、爪は伸びていないかを調べられるのにも役立ちます。
トレーニングはおとなしい犬なら前足の甲に触れることから始め、慣れてきたら前足をそっと持ち上げその下に手のひらを入れ「オテ」と声かけして褒める、を繰り返すとよいでしょう。
前足を触られることに抵抗を示す犬は、おやつを手のひらに乗せて犬に見せたあと軽く握り「オテ」の位置に据えます。
犬が前足で手に触れたところで「オテ」と声かけして手を開きおやつを上げます。
このとき褒めることも忘れずに。
「オテ」のかけ声で飼い主さんの手に触ったらよいことがある、と思わせることが大切です。
愛犬とのお出かけに覚えておきたいマナー
愛犬との楽しいお出かけにも守るべきマナーはあります。
最低限必要なことは
- ワクチン接種済み、寄生虫・感染症がないこと
- ヒート中ではないこと
- 社会化ができていること
の3点です。
しかし、お出かけ先によってはほかにも注意しなければならないことはあります。
この章ではシーン別に覚えておきたいマナーをご紹介します。
ドッグランでのマナー
ドッグランを利用する際の基本的なマナーは以下の通りです。
- リードをつけて入場する
- 場合によってはマナーベルトをつける
- 施設ごとのルールに従う
入場するときは必ずリードをつけ、その場に慣れるまで外さないようにします。
おもちゃを使用できる場合は、持参したおもちゃで遊ばせましょう。
大型犬用・小型犬用など体の大きさで分けられている施設では、その施設のルールに従います。
排せつは入場前に済ませることはもちろん、万が一に備えてマナーベルトをつけたり粗相したときの後始末の準備をしたりしましょう。
においが漏れない袋を用意すると安心です。
利用前に施設のルールを確認し、周囲の迷惑にならないように利用してください。
レストランやカフェでのマナー
レストランやカフェではマナーとして
- 抜け毛対策
- 排せつ対策
- 無駄吠え対策
などをする必要があります。
抜け毛対策は、入店前のブラッシングや洋服を着せるといった方法があります。
着脱が簡単で、暑さや寒さの対策としても使える洋服がたくさんあるので、嫌がらなければ慣らしておくとよいでしょう。
排せつは入店前に済ませる、マナーパンツやマナーベルトをつけるといった方法があります。
ペットシーツとマナーパンツ(ベルト)はお出かけの際必ず持参し、必要に応じて使用してください。
無駄吠えはトレーニングである程度克服できますが、不安や興奮から吠えてしまうこともあるでしょう。
多くの飼い主さんはいったん外に連れ出し、落ち着いてから戻るといった方法で対策しています。
無駄吠え防止グッズもありますが、普段から愛犬がどんなときに吠えるかよく観察し、対処することも有効です。
宿泊旅行でのマナー
犬の同伴OKの施設でも、最低限守るべきことはあります。
- 抜け毛対策
- 排せつ対策
- 客室での過ごし方
まずレストランやカフェと同様に抜け毛は対策したいもの。
お出かけ前のシャンプーや入館前のブラッシングはぜひ実行してください。
リードをつけて入館するなら、部屋に入る前に足もふいてあげましょう。
トイレはあらかじめ済ませ、マナーパンツやマナーベルトをして訪れるのが望ましいです。
というのも入り口のマットに反応して、普段はしないのにマーキングする場合もあるからです。
慣れないところでは、普段と違う行動をすることも珍しくないので「うちの子は大丈夫」という思い込みは手放してください。
ポータブルトイレ
客室に備え付けのペット用トイレがなければ、ポータブルタイプのトイレを持参しましょう。
クレートは用意しておけば、飼い主さんが部屋を離れなければならないときにも安心です。
折りたたみができるソフトタイプのものや車内と兼用できるタイプなら荷物にもなりません。
折りたたみソフトケージ
わからないことは予約時や入室時に確認し、決められたルールに従いつつ楽しく過ごしましょう。
自然のアクティビティでのマナー
キャンプブームの中、愛犬とともにキャンプを楽しむ方も増えています。
自然の中で過ごす際は、街中にいるときとは違う対策が必要です。
- 迷子対策
- 虫よけ対策
- ケガ対策
キャンプでは、飼い主さんもテントの設営や料理などで忙しいことが予想されます。
早いうちから、「愛犬の居場所」を作ってあげることが重要です。
先にベッドなどを置いてあげて、愛犬がリラックスできる場所にしてから作業を始めると良いでしょう。
係留ペグをしっかり固定しリードを確実につなげておく、など基本的な対策はもちろん、あらゆるケースを想定して準備をしましょう。
夜には真っ暗になるため、首輪につけられるLEDライトなどを用意しておきましょう。
もちろん迷子札も装着します。
お隣さんには、初めにごあいさつをして「犬が苦手じゃないか」「小さい子どもが同行していないか」を確認しましょう。
もし犬が苦手な人や小さい子どもが近くにいる場合、さらなる対策が必要です。
たとえば
- 係留リードを短めにする
- 目を離すときはいったんキャリーに入れる
- 先に散歩する
など。
マナー違反から周囲の人と摩擦があると、せっかくのアクティビティも楽しさが半減してしまいます。
度を超す厳格さは必要ありませんが、最低限のマナーとルールは守りましょう。
マナーではありませんが、自然の中ではアスファルトと違って何が落ちているかわかりません。
肉球の保護のため、靴があれば安心でしょう。
虫よけスプレーなど虫への対策も欠かせません。
【犬用】虫除けスプレー(無香料タイプ)
水辺でのアクティビティはさらに、低体温症や水の事故を防ぐため、
- 犬が入ってもよいエリアか確認
- 長時間水に入らない
といった注意が必要です。
水辺に入ったあとは、必ず真水で洗い流し、体をよく拭いてブラッシングなどをして感染症や低体温症を予防してください。
電動ポータブルシャワー
ポータブルのシャワーは、わんちゃんのシャンプーなどにも使えるだけでなく、災害時の備えとしても1台持っておくと良いでしょう。
山であっても水辺であっても、暑い季節には熱中症の対策を万全にして楽しみましょう。
まとめ
大切な家族である愛犬に、ときにはいつもと違う体験をさせてあげたいものです。
しかしいつもと違う体験をするには、いつもと違うマナーやルールを守らなければなりません。
しつけは、犬と人間が共存するために必要なことです。
愛犬に我慢ばかりさせるのではなく、楽しみながらトレーニングしましょう。