愛犬と信頼関係ができてきたら、いつもとは違う経験もしたくなるもの。
「少し足を延ばして出かけたいけど、電車にはどうやって乗せたらいい?」
この記事では以下の内容をご紹介しています。
愛犬とお出かけしたいと思った方は、ぜひご一読ください。
※この記事の情報は2023年8月現在のものです。
実際にお出かけする前に最新の情報をお確かめください。
犬を電車に乗せる際のルール
愛犬と電車でお出かけするには、利用する交通機関ごとのルールを把握しておかなければなりません。
この章では、JRと関東を中心に特急列車を運行している会社のルールをご紹介します。
JR各社
犬と同伴の乗車に関して、JR各社では新幹線を含む各線で以下のように規定しています。
- 猛獣やヘビの類を除き、小犬・猫・鳩またはこれらに類する小動物のみ
- タテ・ヨコ・高さの長さの合計が120cm以内の専用ケースに入れる
- ケースと動物の重さを合わせて10kg以内
- 手回り品料金として1個につき290円
- 乗車の前に改札口などで係員に荷物を見せる
ただし、上記を守れば必ず乗車できるとは限らず「他のお客様にご迷惑おかけするおそれがある場合や列車が大変混雑している場合などは、持ち込みをお断りする場合があります」とあります。
混雑時は避ける、無駄吠えをしないなど周囲の乗客への配慮も必要です。
ペットカートについては明確な規定がありません。
利用するタイミングや、駅員さんによっても対応が違うとの経験談もあります。
あらかじめ電話などで確認しておくとよいでしょう。
JR以外で特急列車を運行する会社
ちょっと遠出をしたいときに便利なのが特急列車。
JR以外でも愛犬と一緒に乗れる特急はあります。
こちらでは、主に関東地方を走る特急列車のルールを会社ごとにご紹介します。
社名 | 料金 | ルール | 主な特急列車 |
東武鉄道 | 無料 | 他のお客さまに危害・迷惑がないよう動物専用のケースに全体が入っている ケースの3辺の合計が120cm以内 ケースと合わせた合計が10kg以内 | 特急スペーシア 特急リバティ 特急りょうもう スカイツリーライナー アーバンパークライナー |
西武鉄道 | 無料 | 他のお客さまに危害・迷惑がないよう動物専用のケースに全体が入っている ケースの3辺の合計が120cm以内 ケースと合わせた合計が10kg以内 | 特急ラビュー 特急レッドアロー号 S-TRAIN 拝島ライナー |
小田急電鉄 | 無料 | 他のお客さまに危害・迷惑がないよう動物専用のケースに全体が入っている ケースの3辺の合計が120cm以内 ケースと合わせた合計が10kg以内 | 小田急ロマンスカー |
富士急行 | 290円 | 専用のケージなどに入れる 手回り品切符を購入しケージなどに見えるようつける 他のお客さまのご迷惑にならないよう目を離さない 富士山ビュー特急1号車への持ち込みは禁止 | 富士山ビュー特急 フジサン特急 |
こちらもペットカートについては明記されていません。
あらかじめ電話などで確認し、ルールに従いましょう。
犬を電車に乗せる際のマナー
上記の通り、電車に愛犬と同乗するためには専用のケースに入れる必要があります。
しかし、ほかの乗客に迷惑をかけずにお出かけを楽しむには、さらにマナーを守らなければなりません。
この章では、愛犬と電車に乗る際のマナーをご紹介します。
混雑時を避ける
満員電車は人間にとってもストレスですが、犬にとってはさらに強いストレスになります。
そのうえ、乗車しているすべての人が犬好きとは限らない点も注意が必要です。
万が一、近くにアレルギーを持っている人がいたら大変な思いをさせてしまうことになりかねません。
混雑する時間帯を可能な限り避けて、みんなにとってストレスの少ない移動を心がけましょう。
事前に最低限のしつけをする
愛犬と初めて電車に同乗する際、もっとも気になるのは無駄吠えや動き回って騒ぐことではないかと思います。
もしパニックになってしまったら、いったんその場を離れるといった対応をしなければなりませんが、しつけで忍耐力や判断力を養うことも可能です。
「しつけ」というとまるで人間のためにするような印象を持つ方もいますが、犬のストレスを軽減するためにもしつけは必要です。
クレートやキャリーバッグに十分慣れさせ、かつ「オスワリ」「マテ」「フセ」「オイデ」などはしつけておきましょう。
おでかけに関するしつけや基本マナーについてはこちらの記事を参考にしてください。
トイレ・散歩を済ませる
人間が出かける前にトイレを済ませるのと同様、犬も電車に乗る前にトイレを済ませておきたいものです。
トイレをしておかないと電車に乗ってから粗相をしてしまったり、我慢できなくて鳴いてしまったりすることがあります。
トイレと同時に散歩もして、少し疲れさせてあげると眠ってくれるかもしれません。
犬と電車に乗る際の注意点
愛犬と電車に乗る際にマナーはもちろん守るべきですが、それとは別に注意点もあります。
大切な愛犬の安全を確保するために、ぜひとも以下の注意点も意識してください。
短い距離で慣らす
いきなり長時間の乗車は、犬にとって大きな負担となってしまいます。
短い距離・短い時間の乗車から始めて、電車に慣らしていきましょう。
電車や雑踏の音、駅のアナウンスなど自宅で少しずつ聞かせて音に慣れさせるのも効果的です。
乗り物酔い対策をする
慣れない電車移動では、犬も乗り物酔いすることがあります。
たとえば、乗り物酔い対策には次のような方法があります。
- 獣医師に相談して薬を処方してもらう
- 電車に乗る2~3時間前にごはんを済ませる
- クレート・キャリーバッグに慣れさせる
- 短い距離から徐々に延ばし電車に慣れさせる
- 乗車前に散歩や運動などで疲れさせ眠れるようにコントロールする
乗り物が嫌いにならないように、対策してあげましょう。
↓こちらの記事では車の乗り物酔い対処法について、より詳しく解説しています。共通する部分も多いのでぜひご覧ください。
愛犬から目を離さない
電車内ではキャリーバッグから目を離さないようにします。
キャリーバッグは、足元に置いて常に目が届くようにしましょう。
他の乗客のことも考え、座席の上に乗せるのはNGです。
(※ただし特急などで座席を購入し、事前に鉄道会社の許可を得ている場合は除く)
愛犬の様子に気を配り、気になることがあったらすぐに下車することも検討してください。
寒さ・熱中症
キャリーバッグを置く場所によっては、季節に関係なく熱中症のリスクが考えられます。
保冷剤やミニ扇風機などで対策しましょう。
温度は感覚ではなく、数値としてより正確に分かれば場所を移動したり、保冷や保温の対策が取りやすいので、クレートに温度計をつけておくのもおすすめです。
犬を電車に乗せるまでの準備
愛犬を電車に乗せる前にはさまざまな準備が必要です。
ストレスやトラブル回避のためには「準備しすぎ」ということはありません。
この章では、犬を電車に乗せるまでにした方がよい準備をご紹介します。
1.社会化トレーニングをする
犬の社会化とは、犬が社会性を身につけることです。
さまざまな生活音や知らない人・犬などとふれあいながら身につけていきます。
生後3週~13週ころまでを「社会化期」といって、このころにたくさんの経験をさせると社会化が進むといわれます。
ただし犬にも個体差があるため、初めて会う人や初めて聞く音に怯える犬もいます。
成犬になってからも経験を通じて社会化は進みますので「うちの子はダメ」と諦めずにトレーニングしましょう。
社会化トレーニングは、家の中の生活音に慣れさせることから始めます。
いきなり大きな音では驚いてしまうので、初めはドア越しや離れたところから聞かせるようにして、徐々に大きな音にも慣れさせてください。
できるだけいろんな人に会わせることも必要です。
犬によっては、一度に複数人と会わせないほうが社会化しやすい場合もありますが、年齢や性別などもあまり偏らないよういろんなタイプの人に会わせましょう。
触ってもらった後でご褒美を上げるのも効果的です。
しかし愛犬が怯えている・嫌がっている様子が見えたら無理をせず、中止することも大切です。
少しずつ慣れさせてあげてください。
生活音に慣れてきたら、抱っこで少しだけ外に出るのもよいでしょう。
外にはたくさんの刺激があるので、こちらも短時間から始めて少しずつ慣れさせましょう。
犬は人間の気持ちを察します。
飼い主さんが慌てたり驚いて声を出したりすることは避け、いつも笑顔で接してください。
また、しつけ教室や幼稚園(保育園)なども活用し、複数のわんちゃんと生活することも社会化トレーニングに有効です。
2.最低限のしつけをする
トイレトレーニングや散歩など、一緒に生活するうえで必要なしつけをします。
そのほか、お出かけのためにも覚えておきたいのは次の4つです。
- オスワリ:犬の動きを止める
- オイデ:事故防止・リード装着などがスムーズにできる
- マテ:事故防止
- フセ:長時間キープできる姿勢で人間から見ても安心感がある
十分できていると思っても環境が変わるとできないこともあるため、再確認しておきましょう。
3.クレートトレーニングをする
クレートやキャリーバッグに入って落ち着いていられるよう十分に慣れさせることも必要です。
クレートトレーニングは、電車でお出かけするなら、必ずできるようになっておきたいことのひとつです。
クレートトレーニングも短時間から始めて、徐々に時間を延ばします。
多少時間がかかっても丁寧に、根気強く行いましょう。
4.電車や雑踏の音に慣れさせる
社会化トレーニングで生活音に慣れさせたように、電車や雑踏の音にも少しずつ慣れさせましょう。
お散歩で行ける場所に電車が通るのであれば、まずは近くまで行って電車の音に慣れさせます。
もし近くに電車が走ってない場合は、自分で電車の音を録音したり、動画投稿サイトなどで探したりして、毎日少しずつ聞かせてください。
電車に乗る前に、駅や電車の音などに慣れさせることが必要です。電車の音に慣れたら、電車に乗せる前に、まずは駅まで行ってみてください。
5.短い距離の電車移動に慣れさせる
駅構内でも落ち着いていられたら、いよいよ電車に乗ってみます。
電車が空いている時間を狙ってクレートに布などをかぶせ、外が見えないようにしてまずはひと駅。
隣の駅で下車して、駅周辺を散歩しましょう。
「電車でお出かけしたらいいことがある」と認識してもらうため、散歩よりおやつという犬には、たくさん褒めながらおやつを上げても。
帰る前にトイレを済ませたり水を飲ませたりしてリフレッシュできたら、もう一度電車に乗って帰ります。
ただし無理はせず、少しずつ慣らしていくことが大切です。
慣れてきたら移動距離を少しずつ延ばしてお出かけに備えてください。
都心から愛犬と電車で行ける観光スポット
電車でのお出かけは、何といってもスケジュールが立てやすいのが魅力。
渋滞に巻き込まれる心配もなく、あっという間に目的地に到着できます。
この章では、都心から愛犬と電車で行ける観光スポットをご紹介します。
箱根
箱根の公共交通機関は基本、ペットOKです(^^)
- 箱根登山バス:全身が専用のケースに入っていること(ケースのサイズに上限はなし)
- 箱根登山電車・ケーブルカー:全身が専用ケースに入っていること(サイズは3辺の合計が120cm以内、重さの合計が10kg以内)
- 箱根ロープウェイ:全身がケースに入っていること(サイズの上限なし、有料でケージの貸し出しあり)
- 箱根海賊船:全身がケースに入っていること(客室外ではリードをつけて抱っこのみ可、各港で無料のケージ貸し出しあり)
わんちゃんと行ける箱根のおすすめスポットを4つ紹介します。
箱根園水族館
小田急ロマンスカーと伊豆箱根バスで行く箱根園水族館は、海抜723mにあります。
必ずフタがあるカートやキャリーバッグが必要で、愛犬は顔出しNGとなっています。
とはいえペットと一緒に入れる水族館は珍しいので、機会があったらぜひ訪れたいスポットです。
なお、アザラシ広場は安全面からペット連れの方は入場できません。
富士芦ノ湖パノラマパーク
富士芦ノ湖パノラマパークは芦ノ湖や富士山を望む雄大な自然と、8万㎡もの広場が開放感バツグンで、季節によりバラなどの植物も楽しむことができます。
多目的広場のほかにドッグランもあり、自然の中で愛犬とのんびり過ごすには最適。
芦ノ湖遊覧船
湖上から箱根の雄大な自然を楽しめる芦ノ湖遊覧船も、愛犬と乗船できます。
乗・下船時は愛犬の体がすっぽり隠れるキャリーやカートなどに入れなければなりませんが、3・4階デッキのみリードをつけて歩行できます。
ただし乗船にはワクチン接種などの条件があり、デッキでもほかの乗客や犬とのトラブル回避のため、十分な配慮が必要です。
美しい景色を眺めながらの遊覧は、素敵な思い出になりそう。
箱根の森足湯
箱根湯本から箱根登山線で強羅方面へ約35分。彫刻の森駅から徒歩8分の場所にある、源泉100%かけ流しの足湯、犬湯です。
宿泊施設などに温泉を供給する、二の平温泉の供給元の会社が運営している足湯でわんちゃんだけでなく、もちろん人間も足湯できます。温泉の湯のお持ち帰りもできるそうです。
営業日や休業日などは不定期なので公式サイトで確認をしてください。
小谷流の里 ドギーズアイランド
小谷流の里 ドギーズアイランドは、東京から特急しおさい、またはJR総武線で最寄り駅まで行けます。
宿泊施設のほかドッグランやセレクトショップなどがあり、愛犬と充実した時間を過ごせます。
宿泊はラグジュアリーな本館や家族で宿泊するのにぴったりなヴィラ、定員6名でさまざまな楽しみ方ができる「グランピング・ヴィラ」などがあります。
ドッグアメニティは、トイレシーツ・愛犬用タオル・食器はもちろん粘着クリーナーや消臭剤なども備えられており、少ない荷物で出かけられそう。
ドッグランやドッグプール、セルフシャンプーコーナーなどは日帰りでも利用可能です。
八景島シーパラダイス
八景島シーパラダイスは、アトラクション・アミューズメント・ショップ・レストランなどがある複合型のレジャー施設です。
都内からJRやシーサイドラインを乗り継ぎ、八景島駅につくとそこからはすぐ。
ただし水族館やアトラクションなど、ほとんどの施設やショップは愛犬と入場できません。
しかし島内はリードをつけて散歩することができるので、広い島内で花々を楽しみながら歩き回れます。ご家族連れで行く場合は、交代でわんちゃんと過ごすのも良いかもですね。
また、一部のレストランはテラス席のみ愛犬と入店できます。
犬用のメニューはないので、持参しましょう。
高尾山
高尾山は、JR中央線か京王線に乗り約1時間で行ける観光スポットです。
標高は約599mで、麓にはリフトやケーブルカーがあります。(リフトはペット不可)
比較的緩やかな登山道で頂上まで行くとができますが、愛犬と登山するなら、初めはケーブルカーを利用するのがおすすめです。
愛犬とケーブルカーを利用するには
- 全身が入るキャリーケースやバギーに入れる
- バギーの幅は70cm以内
- 長さは1.5m以内
- 幅+長さ+高さ=3m以内
- 総重量は60kg以内
という条件を満たす必要があります。
なお、無料でケースの貸し出しをしているので、お出かけ前に確認されてもよいでしょう。
ペットのケーブルカー乗車料金は無料、リフトは利用不可です。
まとめ
愛犬とのお出かけは、散歩とは違う経験ができる貴重な機会です。
豊かな自然の中で愛犬が喜んでいる姿を見ると「来てよかった」と思うことでしょう。
しっかり準備して愛犬と楽しい思い出を作りませんか。